JSSM67th




大会長挨拶

この度、2026年8月29日(土)30日(日)に、名寄市立大学にて第67回日本社会医学会総会を開催させていただくこととなりました。このような貴重な機会をいただきましたこと、日本社会医学会の皆様に厚く御礼申し上げます。

名寄市は北海道の北部、北緯44度の地にあり、農業を基幹産業とした人口2万4000人(2026年2月現在)の市です。旭川から北のエリアの中核となる小都市で、裁判所や税務署、ハローワークといった国の機関が置かれ、管轄人口約5万人の二次医療圏の中心地でもあります。本州各地からの移動には、半日以上を要しますので、2日間の日程にご参加いただくには前後泊を含めて3,4日の日程を確保していただくことになり、お時間と経費がかかりますことにはどうぞご容赦下さい。実は本学で全国規模の学会を開催することは珍しく、各学会で候補地に挙がっても、移動時間が長く旅費が高額となることから却下されることがほとんどでした。この度の開催に心から感謝し、名寄市民をあげて皆様をお迎えする所存です。

この度の総会の開催は、2年前に高鳥毛理事長からの打診を受けたことに始まりました。高鳥毛理事長の日本社会医学会への熱い思いとして、地方の会員を増やし、僻地の暮らしや郡部で活動する保健師等の活躍を紹介したいとの強いご意向がありました。名寄市立大学は昭和35年に開学した名寄女子短期大学に始まり、当初から当該地域に必要な専門職を養成する大学として現在に至ります。近年は多数の保健師を輩出し、北海道内でその養成機関として大きく期待されています。高鳥毛先生にはその卒業生保健師の研修会にお越しいただいたこともあり、印象に残っておられたことと思います。

2024年1月に発生した能登半島地震では、各方面から僻地の暮らしや災害への備えについて改めて考える機会となり、阪神淡路大震災以降の数々の大災害でも気づかれなかった僻地の課題に国民の関心が向き始めたところかと思います。名寄市は内陸にあり、過去には水害に苦しんだ地域ではありますが、治水により現在は自然災害の恐れはあまりなく、山間部に熊は多数生息していますがその影響も特になく、ニュースに取り上げられるような話題は近年ありません。

しかしながら、二次医療圏は府県並みの広さがあり、夜間救急や高度医療を必要とする救急搬送には距離と搬送手段という大きなリスクを常に抱えています。近隣町村は高齢化率40%も珍しくない高齢社会の先進地です。農業が基幹産業のため、広大な農地を年々減少する農家が1戸あたりの耕作面積を広げながら維持しています。自治体ごとに小学校1校、中学校1校となっていたところ、近年はそれらを1つの9年制の義務教育学校に統合するという少子化先進地でもあります。個人商店が閉店し買い物に苦慮する集落も増えています。

この度の総会では、人口減少が著しい僻地の取り組みを日本の未来図の1つとして感じていただき、それぞれがご活躍される分野を通じて社会医学の未来を考えていただく機会となれば幸いです。 名寄市までの行程をお調べになり、所要時間および必要とされる旅費に驚かれた方が多かろうと思います。その点は大変恐縮に思っておりますが、そのような僻地に立地する公立大学がどのように学生を集めているかにも少しだけ興味を持っていただくことにも期待いたします。

皆様のお越しを心からお待ち申し上げます。

第67回日本社会医学会総会
大会長 播本雅津子
(名寄市立大学保健福祉学部看護学科 教授)